ブログ|早稲田墓陵

魂の故郷(いのちのふるさと)から一言

住職、副住職をはじめ龍善寺のスタッフが、日々の歩みの中で気づいたこと、
感じたことを綴ってまいります。一月1回の更新予定です。
これもご縁と、ちょっと息抜きにでも、お立ち寄りいただければ有難いことと思います。

冬の京都・北陸のお寺を訪ねて。

昨年12月、スタッフとともに京都・北陸にお参りに行ってまいりました。

京都の本山・東本願寺から本願寺別庭の渉成園、滋賀県の長浜別院大通寺、

福井県吉崎御坊、井波別院瑞泉寺などを訪ねる2泊3日の参拝旅行でした。

 

本山・東本願寺に参拝。

 

1日目は、スタッフ一人が予定の新幹線に寝坊して乗り遅れるというハプニングで始まり(次の新幹線に乗って、本山では無事合流できました)、大雨の中、本山東本願寺にお参りをしました。前月も本山報恩講で来ておりましたが、報恩講の時とはうってかわって静かにお参りさせていただきました。本山に来るたびに、身が引き締まる思いがします。得度式を受けて、僧侶になったのも、住職資格を取るためにこもったのも、先代の後を継いで、住職の任命を受けたのも、皆、ここ本山でした。

 

長浜別院大通寺へ。

 

2日目からは、マイクロバスで移動。まず、「御坊さん」と長浜の人たちから親しまれる長浜別院へ。長浜別院は慶長7年(1602年)に本願寺第十二代教如上人を開基として長浜城跡に創建されたと言われています。

荘厳な山門をくぐると、本堂、庫裏、太鼓楼、鐘楼などの建築物が建ち並んでいます。明治維新のころに焼失した本山の御影堂門は、ここ長浜別院の山門を基に再建されたとのことでした(もともと長浜別院の山門が焼失前の本山の御影堂門を基に建立されたとのことです)。その他、伏見城の遺構とされる本堂や大広間などの建築物に感心し、伊吹山を借景とする含山軒庭園からの眺めも素晴らしかったのですが、そこは、特に寒かったのを覚えています。

 

 

 

猛吹雪の東尋坊。

 

長浜別院を後にして、北陸道で一路北陸へ。長浜インターに入るや大雪。吹雪の中、福井県と石川県の県境にある蓮如上人のご旧跡吉崎御坊に到着。しかし玄関で呼べど、誰も出てこられません。しばらくしてようやくご住職とお会いできました。「こんな雪の日によく来たね。今日は誰も来ないだろうと思って、受付の女性も休みにしたんだよ。」とのこと。それでもご丁寧にご対応いただき恐縮しました。御坊跡の高台からは、怒涛の日本海が見えました。

それではと、日本海の景勝地、東尋坊へ向かいました。静謐な寺院巡りとは異なり、ここは、風速20メートルはあろうかという猛吹雪。横殴りの雪や波しぶきが私たちを手荒く出迎えてくれました。風に向かっては、とても立っていられないという凄まじい状況。むしろ、テーマパークのアトラクションよりすごい光景に、こういう貴重な体験は二度とできないだろうと、氷点下の雪と汐にまみれながら思いました。

 

 

 

井波別院瑞泉寺へ。

 

3日目には、今回の参拝旅行の最終目的である井波別院瑞泉寺を訪ねました。まず、入口の山門に圧倒されます。ただ大きいだけでなく、扉、柱、梁にほどこされた「井波彫刻」と言われる木彫りの造形美に驚かされます。境内をみれば、一面の銀世界。図らずも美しい雪景色と出遇えました。

井波別院は、明徳元年(1390年)、本願寺5代綽如上人によって開かれた寺院で、宗派の中でも最大規模の別院です。北陸の浄土真宗信仰の中心として多くの信者を集めたところです。

本山かと見まがうほどの大きな本堂で、雪の降る中、ご丁寧にお話しいただきました。有難うございました。回廊にまで、雪が吹き込み、雪かきしてもらって、ようやく本堂に入れました。でも寒かったです。

その時、本堂でかつて同じように冬の井波別院に作家の五木寛之さんがお参りに来られた時のエピソードをお話しいただきました。

しんしんと冷えた本堂に入って開口一番、五木さんは、「あたたかいですね」と言われたそうです。樹齢500年もあろうかという直径70cm以上の柱が80数本も建ち並んだ、広さ450畳の見事な木造建築の大伽藍、これだけのお堂を門徒の方々が建ててくださったことを思うと、そこにどれだけの想いが込められているか、太い柱を見るだけで温もりを感じさせられたということです。まさに私たちもその温もりを、凍えながらも、体験できたというわけです。

確かに本堂に座って、自然とこうべが垂れ、手が合わさりました。有難うございますという想いが、湧き起ってくるような不思議な時間でした。

 

 

 

東京への帰路。

 

そもそもこの大移動の計画を立てた、もうひとつの目的は、北陸新幹線の開通で廃止となる北越急行「特急はくたか」に乗車体験することでした。しかし、前日は、「特急はくたか」も北陸本線の「特急サンダーバード」もすべて運休。はたして帰れるのかどうかと心配しておりました。

ところが、当日は通常通り運行とのこと。喜び勇んで富山駅に向かうと、あと30分で富山駅というところで、乗車予定の「はくたか13号」が運休との情報!どうしよう。

どうしたら東京に帰れるの?と駅の方に尋ねると、なんと13号の1本前の「はくたか11号」が遅れていて、『まだ、富山駅に着いていません。それに乗れば、いちばん早く帰れます』とのこと。やったー。しかし、8人分の切符の変更に時間が掛かかります。駅員さんもホームのカメラを見ながら大急ぎで手続きしてくれました。やっと手続き終わり、ホームの階段を駆け下りていくとホームの放送が。『遅れておりました「はくたか11号」到着します。白線の後ろにお下がりください』…

とこんな風に、無事東京へ帰ってまいりました。(皆、お昼抜きになり、車内販売の駅弁を買い占めました。周囲の方ごめんなさい。)

 

 

季節外れ(?)の豪雪の中、訪れた先々での心温まる丁寧なご対応、お話に加え、よきご縁によって、無事帰って来れました。ただ、ただ、感謝です。。(来年の当寺旅行会は、チューリップのきれいな春に北陸新幹線に乗って富山に参ります。ぜひ、ふるってご参加ください。今回は、その下見でした。)

 

皆さんもご縁がございましたら、

ぜひ、京都から北陸へと、足を伸ばされてはいかがでしょう。

冬の北陸こそが、北陸の本当の魅力に触れることができる時節かも知れません。

 

合掌

 

住職 平松浄心

 

1:住職 平松浄心

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