八ヶ岳登山と阿弥陀さま
夏に初めて蝉が鳴くことを、初鳴きといいます。
ここ龍善寺あたりでは、7月6日頃に今年初めて蝉の鳴き声を聴きました。昨年は7月5日頃でしたので、毎年ほぼ同じ時期に鳴き始めることが分かります。季節の移ろい、自然のリズムはとても規則正しいものだと改めて驚かされます。
私は普段山登りをするせいか、身近の自然の変化がとても気になります。桜はもちろんですが、梅、つつじ、藤、あじさいなどの花々が、春から夏にかけて次々に咲いていく様子に心を躍らされます。
また山では多くの野生動物と出会います。野生のシカ、猿、へびなどにはよく出会います。彼らは森の遠くからでも気配を感じとって、じっとこちらを見つめていることがあります。その佇まいには畏れや威厳を感じます。
先日は赤岳に登って参りました。赤岳は八ヶ岳の主峰で、その隣りの阿弥陀岳とともに登山者にとっては憧れの山といえます。いつも麓から赤岳と阿弥陀岳を仰ぎ見ては、その神々しさに心惹かれます。とくに阿弥陀岳はその名のとおり古くから阿弥陀さまの山として親しまれてきました。八ヶ岳は古くからこの地域一帯の人々の暮らしとともにあり、また多くの生命を育んできました。私はこれからも折にふれて八ヶ岳を訪れたいと思います。
さて、普段のご法要では、「正信偈」をお勤めしております。これは浄土真宗の宗祖親鸞聖人の主著である「教行信証」の「行巻」の終わりに添えられている偈です。
「正信偈」は「帰命無量寿如来」で始まります。この一句目はとても重要とされています。
現代語訳の付いている「こどもおつとめ本 正信偈」を見ますと、この一句目の訳文には、
「限りない寿(いのち)を生きる如来(仏さま)の世界」とあります。
阿弥陀如来は限りないいのちを生きていて、私たちをつつみ込んでくれているように思えます。
私は普段山を歩いていると、この大いなる阿弥陀さまに呼びかけられているような、そんな気がいたします。
またいつもご法要では、最後にご参詣者とともに合掌、念佛をいたします。このいただいたいのちをありがたいと思う感謝の念、そして一日一日を大切に生きることを念じ、手を合わさせていただいております。
合掌