クロノス、カイロスの時間 龍善寺(真宗大谷派 本山 京都東本願寺)早稲田納骨堂発
本格的な梅雨に入ったような日々が続いたかと思うと、今度は真夏のような暑さ。何かと体調を崩しがちです。大雨だったある日、その雨の中でも龍善寺(真宗大谷派 本山 京都東本願寺)早稲田納骨堂にお参りにいらっしゃった方々をご案内しました。縁ある方々を大切にしようとするお姿からは、ご存命中の故人との縁の深さ、温かさが滲みでているように感じています。
さて、もはや6月も中旬。時間の流れる早さに驚くばかりです。時間には「クロノス時間」と「カイロス時間」があると教えていただきました。クロノス、カイロスとも神様の名前だったようですが、クロノス時間とは物理的な時間、カイロス時間とは人間の内面を流れる意味的時間だそうです。
クロノスの時間は時計で測れるような時の長さ、同じ時間の長さを過ごしてもその時間が長く感じられたり、あっと言う間に感じたり、その違いを感じる時間をカイロスの時間というのではないのかと勝手に解釈しています。
先日、来年の東京オリンピックの話題に合わせ、1964年の東京オリンピックで聖火リレーがランナーによって繋げられなかった区間があったという話が次のように報じられていました。「尼崎市では9月25日に聖火が通過することとなり、準備が進められたものの、前日に台風20号が九州に上陸し被害も発生したため、リレーは中止され、聖火を載せた車列が市内を通過しただけに終わりました」という内容です。その聖火リレーに参加する予定だった方々は56年間、無念の思いを胸に持ちながら過ごし、以降、時々、集まっては走ったりしてきたそうです。2020年の東京オリンピックでの聖火リレー参加を希望に、ちょっと年老いた皆さんがはつらつと走っている姿の映像も流れました。もし、この方々が2020年のオリンピック聖火リレーに参加することができたとしたら、56年のクロノスの時間は喜びに満ちたカイロスの時に変わることになるのでしょう。
ある先生は私たち真宗の教えに学ぶものは、念仏しようと思いたつ心が起こる、その時に、えらばず、嫌わず、見捨てない仏さまの愛に包まれるのだとおっしゃいました。その思いたつ心のおこる「とき」がカイロスの時間に転じられる「とき」だと。生きていると楽しいことばかりではありません。仏さまから我が身中心にしか生きられない自己を教えられ、心から首を垂れることができ、感謝と懺悔(さんげ)の念仏が口をついて出た時、仏さまの愛を感じることができ苦悩の意味は転じられるのでしょうか。既にある智慧の光が私たちに届くのを遮るのは私達自身とも教えられています。真宗の教えを聞いているものにできることはほんとうに教えられる者になる日まで「ただ念仏」し、歩んでいくしかないのでしょう。これからも皆さんとご一緒に問い続けて続けていきたいと思っております。
龍善寺(真宗大谷派 本山 京都東本願寺)では、7月、8月はお盆の法要が勤修されます。
いずれの日も受付開始は14時。開始時間は14時半となっています。
新盆法要・・・今年の7月中旬までの1年間に49日を迎えられた方、日程等含めて、別途お寺からご案内をお送りしています。
歓喜会(お盆の法要)・・・7月13日(土)、14日(日)、8月14日(水)どなたでも参加できます。
皆様のご参加をお待ちしております。
2019年6月15日 額田 薫